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中島晴矢 個展「REACH MODERN」

中島晴矢 「REACH MODERN」 Haruya Nakajima Solo Exhibition   アーティストが「動き」を形にする道筋には、高速レーンと低速レーン   があると考えます。私たちの世界はグローバル化による同質化の圧力   にさらされていますが、それはアート界にも影響しています。   私が考えているのは、同質化への抵抗なのです。   ハンス・ウルリッヒ・オブリスト『インタビュー』※ 今回の中島晴矢「REACH MODERN」展は、戦前の文学運動である新感覚派を代表する横光利一という作家に焦点を当てて構成されています。中島晴矢は2008年ころから美学校周辺を中心に活発な作家活動を続けており、その作品は様々なメディア、様々な表現形態を持ち、とても一人の作家とは思えないほどです。 では一体なぜ、そんなことが可能なのでしょうか? 中島晴矢の思想は、グローバルに対する同質化の拒否と、ローカルに対する完全な同質化の対立として表れます。彼の無数に存在する制作スタイルは、全て彼が「発見したローカルな思想を蘇らせるための方法」として獲得したものです。 世の中には大きく分けて二つのタイプの作家が居ます。一つは自分の「新しい」思想を主張する夢見がちなロマンチスト、そしてもう一つは他者の「既にある」思想を蘇らせる冷静沈着なリアリストです。彼はリアリストとして横光利一の思想を「再発見」します。 今回の展示を開催するにあたり、中島晴矢は「日本ではシュールリアリズムは地震だけで結構ですから、繁盛しません。」という横光利一の言葉を何度も繰り返しました。それは関東大震災の影響を受けた横光利一に対する切実な共感であるとも言えるでしょう。   私たちは字幕が偏在し、吹き替えが全面化した世界へ向かっている。   今日のアートはテキストとイメージ、時間と空間、それらを編み込む   つながりを探すのだ。アーティストは記号であふれた文化の風景を   横断し、複数の表現やコミュニケーションの間の経路を創造する。   ニコラ・ブリオー『オルターモダン・マニフェスト』※ 今回の展示における中島晴矢の目的の一つは、様々な手法で作られた記号から私たち観客が「日本の近代」とは何かを考察することだと言えるでしょう。それはつまり震災前の「前近代」から「近代」へと意識を自覚的に変更するということです。 中島晴矢が呼びかける対象は、震災前から変わらず自覚的に動き続ける人でも、震災によって動きが変わった人でもありません。彼が呼びかけるのは震災前から変わらず、無自覚なまま形骸化した動きを続ける「前近代」の人々に対してです。 例えるなら中島晴矢はシャーマンです。彼は対象をどう牽引するかを切実に、そして誠実に考えていると言えるでしょう。また戦闘的な姿勢を持ち、最前線で壮絶な撤退線を続ける「もうひとつの近代」の開拓者とも言えるのではないでしょうか。 キュレーション:齋藤桂太( Gallery Ajito Curator … 続きを読む

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